
TOPコレクション Don't think. Feel.
本展はオンラインで日時指定チケットが購入できます。 >日時指定チケットの購入はこちら(外部サイト) ものに触れて感じる力 「TOPコレクション」展は、東京都写真美術館が収蔵する約39,000点の写真・映像作品をさまざまな切り口で紹介する展覧会です。 令和8(2026)年度第一期のテーマは、AI時代における「感触」。「感触」とは狭い意味での触覚だけではなく、「ものに触れて感じること」を指します。現代では人工知能(AI)の急速な社会進出によって、これまで人間に特有のものとされてきたさまざまな技術や能力の優位性が揺らいでいます。こうした時代背景においてこそ、真の人間力について考えることに意義があるはずです。このコレクション展では、文化、芸術に特有の共感覚や、感性的なコミュニケーション、想像力の可能性を考えます。「感じること」の重要性を説いた香港の武術家・俳優・哲学者ブルース・リー (1940-73)の言葉「Don’t think. Feel.(考えるな、感じろ。)」を手掛かりとして、当館の写真作品から五感を触発する作品を選んだ表題のセクションを中心に、短編小説集のように5つの小テーマで構成するオムニバス形式の展覧会です。 本展の構成 第1室「Don’t think. Feel.」 香港の武術家・俳優・哲学者ブルース・リー (1940-73)の言葉「Don’t think. Feel.(考えるな、感じろ。)」から着想を得たセクションです。リーは武術について「感じること」の重要性をシンプルな言葉で語りました。美術においても、身体を通して「感じること」によって、より豊かな作品体験が生まれます。マン・レイやエドワード・ウェストン、恩地孝四郎らによる触覚的な視覚表現や、田村栄〈多摩川の鳥〉(1954-60)、近藤龍夫〈湖北〉(1957-77)といった戦後日本の知られざる逸品を通して、ここでは「ものに触れて感じる展示」を体験することができるでしょう。 田村栄《てのひらのヒナ(孵化3日目)》〈多摩川の鳥〉より 1954-60年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵 恩地孝四郎〈博物志〉より 1938-42年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵 齋藤陽道《星の情景》〈せかいさがし〉より 2019年 発色現像方式印画 東京都写真美術館蔵 第2室「家族写真の歴史民俗学」 川村邦光氏(文化史研究・大阪大学名誉教授)の協力により、同氏の著作『家族写真の歴史民俗学』(ミネルヴァ書房、2024年)を展示化します。同書は19世紀から現代までの家族写真の構図や撮影背景を分析し、家族の社会表象について論じています。収蔵品の中から川村氏の論じた家族写真を中心に展示し、氏による考察のテキストをあわせて展示します。 影山光洋《小麦の収穫祝い》〈家族の肖像〉より 1946年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵 作家不詳《(母子像)》 1840-59年 ダゲレオタイプに手彩色 東京都写真美術館蔵 第3室「川内倫子〈Illuminance〉」 川内倫子の写真シリーズ〈Illuminance〉(2011)と共に、令和7年度新規収蔵作品の《Illuminance》(2001-26)(同名の映像作品)、《M/E》(2022)(映像作品)を紹介します。光の「照度」を意味するこのシリーズは作家の代表作であり、2012年に当館で開催された個展「照度 あめつち 影を見る」において展示されました。川内は自身を取り巻く世界に目を向けて、一瞬、一瞬のうちに見出された光景を捉えます。その作品表現は、特定の時間や場所から解き放たれ、意識と無意識の間を漂うような、独特な時間感覚を見る者に与えます。 川内倫子《M/E》 2022年 2チャンネル・ヴィデオ 東京都写真美術館蔵 川内倫子《Illuminance》 2001-26年 2チャンネル・ヴィデオ 東京都写真美術館蔵 川内倫子《Illuminance》 2001-26年 2チャンネル・ヴィデオ 東京都写真美術館蔵 第4室「記憶の部屋」 写真はなぜ人々の持つ記憶を刺激するのでしょうか。本セクションでは、見る人の記憶の奥に眠っていた感覚や感情を揺り動かす作品に着目し、関口正夫、田中長徳、稲越功一らによるスナップショットや、小林のりお〈ランドスケープ〉(1984-85)におさめられた都市の風景などを展示します。ここでは、かつてそこに確かにあった感覚や風景と邂逅するかのような、記憶装置としての写真について思索を深めます。 稲越功一〈記憶都市〉より 1986年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵 第5室「イメージの奥にひそむもの」 展覧会の終点となるこの部屋では、画面上に写るイメージの奥にある、作家固有の感性や感覚を探ります。写真固有の芸術表現を追求した中山岩太や後藤敬一郎といった戦前の写真から、森村泰昌、吉田志穂らの現代の写真まで、想像力に働きかける作品を取り上げます。作家の感性や感覚そのものに思いをめぐらすことによって、「感じること」のその先について考えることを試みます。 森村泰昌《なにものかへのレクイエム(独裁者はどこにいる1)》2007年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵 吉田志穂〈砂の下の鯨〉より 2021年 インクジェット・プリント 東京都写真美術館蔵 出品作家 マン・レイ、恩地孝四郎、エドワード・ウェストン、田村栄、近藤龍夫、濵谷浩、北井一夫、 細江英公、吉野英理香、齋藤陽道、植田正治、影山光洋、深瀬昌久、アレック・ソス、川内倫子、 関口正夫、高梨豊、土田ヒロミ、河野浅八、アルフレッド・スティーグリッツ、中山岩太、 後藤敬一郎、北代省三、森村泰昌、吉田志穂 ほか