FRAME
ハン・ヨンス 「Unfolding Time」
photo · solo

ハン・ヨンス 「Unfolding Time」

장소 MISA SHIN GALLERY
기간 2026-09-192026-10-18예정
요금 무료
작가 ハン・ヨンス

1933年、現在の北朝鮮・開城に裕福な家庭の長男として生まれたハン・ヨンスは、朝鮮戦争(1950–53)では若い士官として韓国軍に従軍し、戦後ソウルに戻った後、韓国リアリズム写真の先駆的なグループである新線会(Shinsunhoe)に参加します。以後、ハンは、戦争の痕跡を残しながら急速な復興を遂げていく都市と、近代化の波のなかで変貌する社会、そしてその只中を生きる人々を、独自の視点から撮影し続けました。 本展では、主に朝鮮戦争直後の1950年代から60年代にかけて撮影された作品を紹介します。そこには、瓦礫の残る街路や伝統的な韓屋が見られる一方で、洋装の女性、商店、車、広告、橋、新たな建築物など、急速に姿を変えつつある都市の諸相が捉えられています。ハイヒールを履いて街を歩く女性、洋服を扱う店舗、マガジンスタンドを営む若い夫婦、遊びに興じる子供たち、川辺で思い思いの時間を過ごす人々、街を行き交う無数の市民、そして次々と建設される新しい都市空間。ハンが捉えた戦後のソウルは、単に「戦争によって破壊された都市」として提示されるだけのものではありません。むしろ彼の視線は、戦後の被害や貧困という社会的現実を背景に持ちながらも、そこに還元されることのない、人々の生命力や自尊心に向けられています。どのような状況にあっても、人は再び笑い、自らの身なりを整え、美しくあろうとする。ハンの写真には、そうした人間の営みがもつ静かな強さと、社会が再び動き始める瞬間のエネルギーが刻まれています。 また、写真に写し出された服装や建築、都市空間、そして子供たちの姿は、個々の生活風景を超えて、社会の変容を示す重要な指標となっています。女性たちの洋装は、近代化に伴うジェンダー規範や生活様式の変化を示唆し、新たに建設される建築物や道路は、都市そのものが再編されていく過程を物語ります。一方、子供たちの姿には、戦争を経験した世代から次の世代へと時間が移行していく感覚が刻まれています。とりわけ漢江に集う人々の姿には、戦争によって中断された日常を、人々が少しずつ取り戻していく過程を見ることができます。こうした作品から浮かび上がる1950年代のソウルは、現在から見ればすでに失われた過去です。しかし、そこに生きた人々にとって、それはまだ何ものにも定められていない未来でもありました。ハン・ヨンスの写真は、その「過去」と「未来」が交差する歴史的な時間を捉えています。 ハンの写真表現の特徴は、社会や都市の現実を記録するドキュメンタリーとしての性格と、ファッション写真を想起させる洗練された造形美が共存している点にあります。一見すると、街角で偶然遭遇した一瞬を捉えたスナップショットのように見える作品であっても、画面内部では人物、建築、道路、光、影、線などの要素が極めて精緻に配置されています。古い建物や坂道、電線、看板、商品、道路、そしてそこを行き交う人々が複雑に入り組む都市の現実を、ハンは決定的な瞬間に切り取り、画面内の多様な要素を緊密な構図のなかに統合します。そこには、偶然性を受け入れながらも、光と空間、人物と建築、静と動の関係を鋭敏に捉え、画面全体を統御する高度な構成力があります。雑然とした都市の風景は、彼のカメラを通すことで緊張感のある視覚的秩序へと変換されるのです。 さらに、ハンの写真には、静止したイメージの内部に時間の流れを感じさせる作品が数多く見られます。画面の人物はどこから来て、どこへ向かうのか。そこに写る二人はどのような関係にあるのか。写真は一瞬を固定しながら、その前後に存在する時間を想像させます。その意味で、ハンの作品は単なる記録写真にとどまらず、映画の一場面のように時間を内包し、見る者の想像力によって詩や短編小説にも似た物語を立ち上げる力を備えています。日本における二度目のハン・ヨンス個展となる本展で展示される作品群は、撮影から70年近くを経た現在においてもなお新鮮な視覚的強度を保ち、変化のただ中にあった人々の姿を通して、今日を生きる私たちにも直接的に語りかけます。

출처 Tokyo Art Beat
MISA SHIN GALLERY